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■ワークショップとは

「ワークショップ(Work Shop)」という英語のもともとの意味は、「工房」 「作業場」 など、共同で何かを作る場所を意味しています。それが、現代演劇や現代美術、住民参加のまちづくりなどの世界で、教師から生徒への一方通行的な知や技術の伝達でなく、参加者が主体となって積極的に 「参加」 し、アタマや言葉だけでない 「体験」 を重視し、 「双方向性」 や 「相互利用」 を活かした、 「参加体験型のグループによる学習や創造の場」 としての現代的な意義を得て、1960年代位から欧米から世界の様々な分野に広がってきました。
分野や人によって、 「ワークショップ」 という言葉も様々なニュアンスで使われているので、一言で定義するのは難しいですが、とりあえず 「ワークショップとは、講義など一方的な知識伝達のスタイルではなく、参加者が自ら参加・体験し、グループの相互作用の中で何かを学びあったり作り出したりする、双方向的な学びと創造のスタイル」 だと定義できます。

■ワークショップの三大特徴

(1) 「参加」
ワークショップは学習者(参加者)が主体の場です。誰が教えてくれる場ではなく、ファシリテーター(進行役)のそそのかしにより、参加者自身が主体となって、自らの体験や参加者同士の相互利用の中から学んだり創り出したりする場です。だから参加者には、ただ受身的に話を聞くだけでなく、自ら主体的にプログラムに 「参加」 していく積極的な姿勢が不可欠なのです。
また全員のやる気をうまく引き出しながら丁寧に始めていく 「導入」 部分の工夫が不可欠です。なにをやろうとしているのかの目的を確認して皆で共有したり、だいたいどういう流れで行われるのか見通しを示したりする 「オリエンテーション」 や、参加者同士の緊張をほぐすために 「アイスブレーキング」 と呼ばれる楽しいゲーム的な要素の強いプログラムを入れたりの工夫がよくなされます。

(2) 「体験」
ワークショップは、自らいろいろやってみる「体験」の場です。言葉を使ってアタマで考えるだけでなく、五感を使って自然を感じたり、全身で動き回るゲームに興じたり、普段の自分とは違う役割をとってロールプレイを演じてみたり、実際の現場を見学してみたり、心や身体の全体を使ってまずは 「体験」 を積み重ねていきます。 人間には、ボディ(身体)・マインド(知性)・スピリット(直観・霊性)・エモーション(感情)の四つの要素があると言われますが、通常はどうしても 「知性」 偏重の場が多いと言えます。ワークショップでは、知性だけでなくこれらの要素をバランスよく使うことが多いですが、全人的な教育には大切な配慮です。
さらに、ただ体験すればいいという訳ではありません。 「体験」 を確かな学びへとつなぐ 「体験学習法」 では、(1)体験する、(2)観てみる、(3)分析する、(4)概念化する、という循環し学び続けるプロセスを大切にしています。何かを体験したあとに、自らふりかえり、分析して概念化できてこそ、様々な局面への応用ができるようになるのです。
ワークショップでは、一区切り体験したあとでふりかえり、できれば言葉にして仲間と分かち合ってみる 「シェアリング」 と呼ばれる時を大切にします。話すほうにとっては自分の体験の整理になりますし、聞く方にとっては、同じ体験をしても人によって違った感じ方があるのだという多様な価値観についての学びになるのです。

(3) 「相互作用」
三つ目の特徴は、参加者同士の双方向的な 「相互作用」 です。これは、お互いから学びあうこと。誰かからだけ学ぶのではなく、何かの体験を共にしたり、合意形成の必要な共同作業を喧々諤々やりながら意見をすり合わせたり、お互いの感じたことを分かち合ったりするシェアリングの場で、人は自分とは違う他者から学びます。一人ひとりが感じたことを順に話し、他の人は口を挟まずにしっかり聞く、というルールでわかちあい(シェア)していくと、次第に他の人の言葉に深く耳を傾けようという 「傾聴」 の姿勢が参加者の中に育ってきます。自分の感じ方や意見を押し付けるのではなく、多様な感じ方や考え方があり、どちらが正しいとか間違っているとかではないことを実感していきます。そしてまたそこで感じたことを全体の場にフィードバックすることで、どんどん場全体が深まり学んでいくのです。

■ワークショップの意義

このような特徴を持つワークショップは、どんな意義を持つのでしょうか。
一つには、ワークショップは楽しく、歓びがある。いろいろと夢中になって体験に取り組んだり、人と必死に協力したりあるいは議論したりのふれあいがある。そして、新しい自分に出会ったりする。人と関わったり、自然に触れたり、自分自身について知ったりすることは、人の根源的な歓びです。ただ知の伝達だけでは起こり得ない、関わる中での 「豊かさ」 を実感する。モノの所有では決して満たされない満足がこのような人や自然や自分とのつながりを取り戻す 「関係」 の中で得られるのは、現代社会の真の 「豊かさ」 を問い直す上で大きい意味を持つのです。
二つ目には、自分らしさを取り戻すきっかけになります。一つの正解や画一的なモデルに向かう学習ではなく、それぞれの違いや多様性が学びや創造を豊かにしていくことを知る。そのことで、他者のありのままを受け入れ、自分のありのままを正直に表現する意味を実感できるでしょう。みんな違っていいのだ、と。
三つ目には、主体性が育まれることです。単に受身的でなく、能動的な参加で場全体が未知の世界へとどんどん動いていくことを体験するのはやりがいを感じるものです。黙っているより、ちょっとリスクを冒してでも自ら発言したり表現したり動いてみること。どーせ変わらないよ、というあきらめが満ちている現代に、自分の小さな一言が場を動かしていくことを知ることは、主体性や市民意識を育てていく上でも大きな意義があるでしょう。